将来の夢や目標を叶えるために、自立した生活を送る新聞奨学生の 5 人の先輩たち。 仕事の様子や学校との両立の方法、目指す職業への思いなど、同じように悩んだり、努力したりする奨学生だからわかりあえる、本音いっぱいのトークで盛り上がりました。

菊池 大学在学中にコロナが広がり、自分の将来を真剣に考えた時に、歌手になりたいという結論にたどり着いたのが、僕が新聞奨学生になるきっかけだった。でも、さすがに親にこれ以上負担はかけられない。そんな時に、ワタナベエンターテイメントカレッジのパンフレットでこの制度を知ったんだ。

松井 大学に通っていたのは、僕も同じ。学費を両親に頼れないし、自分の志すお笑い芸人になるためには、「自分で学費を稼がないといかん」と思って新聞奨学金制度を使うことにした。

金原 私も声優になる夢を叶えるため。高校卒業後、進学先の学費を貯めようと 3 年間働いたんだけど、貯まったのは 1 年分の学費が足りるかどうか。アルバイトで生活費を稼ぎながら専門学校に行くのは現実的じゃないなと思って、返済額の心配のない日経の新聞奨学生になろうと思ったんだよ。

服部 私も小学校 6 年生の頃からずっと声優になるのが夢だった。でも母子家庭なので経済的に余裕がなくて...。親に迷惑をかけずに自分の夢の 1 歩を踏み出したくて学校に相談すると、この制度を使っている人が多いということを教えてもらった。

遠藤 やっぱり僕の場合も学費を親に頼れなかった。だけど声優になる夢を諦めきれなくて、学校に相談したら、この制度を教えてくれた。その点は服部さんと同じだね。最初は、新聞奨学生が僕に務まるかと親は心配していたけど、オープンキャンパスで講師の方も一緒に説得してくださったんだ。

慣れることで仕事に余裕が生まれる

松井 新聞配達を始めたばかりの頃は、生活リズムになれるのが大変じゃなかった?深夜 2 時に起きるなんて「無理無理!」て思ったけど、1 ヵ月ほど経ったら、いつのまにか体が慣れてくるんだよね。

遠藤 僕もそんな感じだった。体のリズムは徐々に慣れるけれど、最初はバイクの重さに慣れるのが大変だったな。

金原 そうそう。私は自転車なんだけど、新聞を載せるとかなり重いんだよね。

松井 スリップも怖いし、雨の日はブルーだけど、そんな時にはお店の仲間たちとっ「大変だね」と言い合って励ましあってる。

服部 私、一番辛いのはミスがあること。「届いてない」と連絡が入るとすごく凹んじゃう。だから、慣れないうちはミスもあったけど、そこからは意地でも「不着※を出さない!」と決めて、配達するエリアごとに数字をつけて数えながら配ったり、エリアの最後のお客様は新聞を裏返したりと、確認を徹底したらミスを減らすことができた。※不着=新聞が読者に届かないこと。

松井 なぜか、ぽっかりとこの一軒だけ忘れやすいとか、あるんだよね。だから、順路帳に「気をつけろ!」と書き足すなど、僕もいろいろ対策してきたよ。

菊池 僕は配達のルートを覚えるのに結構時間がかかった。1 ヵ月ぐらいはかかったかな。でも、覚えると、余裕が出てくるよね。

松井1 年経った今では、どれだけ早く配れるか、スマホのストップウォッチ機能を使って測るのが楽しみになってるよ。 最初は 3 時間だったけど、1 ヵ月で 2 時間 50 分、さらに 1 ヵ月で 2 時間 40 分。最速は 2 時間 25 分なので、25 分きりを目指して毎日頑張ってる(笑)。陸上部だったから、タイムを縮めるのがうれしいのがあるかも。もちろん法定速度や信号は守った上でね。

金原 順路帳が頭に入ったら、アレンジもできてくるしね。なるべく同じ道を通らないで、ここなら一筆でいけるなとか。ささやかな楽しみを見つけて、効率化できるようになるのがうれしい。毎日のことだから、新聞を仕分けして自転車に乗せて、配る流れ作業のような感じで慣れてくる。そんな流れ作業の中でも、私の配達区域は会社が多いんだけど、警備員さんから「ありがとう」といってもらえると、見てくれている人がいるんだなって。

遠藤 僕の区域には、話をしていると「孫みたい」って言ってくれるおばあちゃんもいる。会うと必ず、おせんべいや果物などをくれるんだ。冷蔵庫の野菜室がみかんでいっぱいになったこともあったな。菊池くんは同じ専売所なので、今度おすそ分けするね(笑)。

時間の有効活用が強みになる

菊池 おすそ分け頼むよ(笑)。僕は 1 限目にボイトレの授業があるので、早い段階で喉を温めるために、配達中は軽く口ずさんだり、自分の作る曲を考えたり、時間を有効活用できるようにしている。みんななんかしてる?

金原 配達中って、結構活かせるよね。例えばエレーベーターの中にはよく鏡があるので、振り付けの練習をしたりね。

遠藤 やっぱり鏡があると、勝手に体が動くのは、“あるある”だよね(笑)。後は、バイクで走っている時に、滑舌の練習のために口や舌を動かすこともできるし。時間がない中でも、やれることはあるよね。

服部 私は高校生の頃は、夜遅くまでゲームをしたりとかだらしない生活をしていた。でも、今は仕事と学業の両立するために時間を無駄にしたくなくて。専売所のみんなが 2 時から仕事を始めるところを 1 時半から始めて、少しでも時間がうまく使えるように考えて行動してる。そうすると、専売所の方から高校時代に言われたことがなかった「まじめだね」という声をかけられるようになって。自分を変えられたようでうれしいんだ。

菊池 大学に行っていた時は意思のない生活を過ごしていたけど、今は配達の仕事と歌手になるための活動を両立するために予定の立て方を常に考えているから、密度の濃い時間を過ごしていると思う。スマホをだらだらと見て過ごす時間も減ったしね。

遠藤 そうして時間をやりくりして新聞奨学生を続けているから、「絶対に声優になってやるぞ!」というのが、モチベーションにもなってる。僕は、みんなに幸せを届けられるような声優になりたいと思っているんだけど、まずは自分が楽しんで、身近な人が楽しませるのが大事かなと。演技の授業でもアドリブや言い回しを工夫するなどして、クラスのみんなを楽しませようと頑張ってる。

金原 私は声優の仕事だけで生きていける人になるのが目標。だから、とにかく全部の授業を 100%の力で受けようと心に決めてる。授業中も台本の漢字が読めないとか、初歩で躓きたくないから、準備をしっかりしてから授業に臨んで、少しでも実のある指摘をしてもらうことで成長していきたい!

服部 私は、声優という夢をもつきっかけになった内田真礼さんや内田雄馬さんのような人柄も魅力的で、人に影響を与えられるような声優になりたい。新聞奨学生になって周囲から言われるようになった“真面目さ”を大切にして、努力を重ねていきたいな。

松井 僕も芸人だけで飯を食っていくのが目標。だから常に誰と接している時にも面白みやファニーが生まれるといいな、というのを意識している。早朝 2 時に起きて新聞を配っていると、終電を逃してしまった人や早朝の出勤の人など、普通に昼間に歩いていたら会えないような人を人間観察するのがすごく興味深い。だから新聞配達も芸人の糧になると思って、1 日 1 日無駄にしないように生活したいなと思っているんだ。

菊池 僕の目標は世間で認知されて、武道館とかの大きなところでライブができるようなプロの歌手になること。そのために、夕刊がない日など時間がある時には学校に行って、友人に自分の曲を聴いて意見をもらったり、曲を書いたり、有意義に時間を過ごすように意識してる。自分の音楽で楽しんでもらえたり、心に彩りを与えられたりできる人になれるよう、今は努力あるのみだな。