夢を叶えるための本気を行動で示して両親を説得
実は僕、高校3年生の夏頃まで警察官になろうと思っていたんです。その考えが変わったのは、夏休みにアニメ映画『五等分の花嫁』を見たこと。進路に悩む登場人物が、本当に自分の好きな道に進みたいという思いを告白するシーンに心打たれて、明確に将来を決めきれず、どこかもやもやしていた僕も真剣に進路を考えるようになりました。
振り返れば、子供の頃に仕事が多忙だった父親とは会話がほとんどなく、口をひらけば喧嘩をしていました。でも、父から好きだったアニメ作品を薦められて以来、共通の趣味や話題ができて関係性がすごくよくなった気がします。自分が一番好きなことを突き詰めて考えていくと、アニメ業界、なかでも声優になりたいと思ったんです。その夢を叶えるため、代々木アニメーション学院のオープンキャンパスに参加し、新聞奨学生になることを決めました。
警察学校に行くと思っていた両親からは反対されました。そもそも、仕事をしながら学校に通えるのかと。言葉で説得するよりも行動で示そうと、高校卒業までの3ヶ月間は深夜2時頃に起きて配達の代わりに運動するなどして、そのまま学校に行く生活を気合いで続けました。それで、両親も僕の本気を認め、応援してくれるようになりました。
新聞奨学生ならではのメリットもたくさんある!
中学で陸上、高校ではハンドボール部で運動を続けていたので、新聞配達の仕事は体力的にはそれほど苦労はありません。とはいえ、やはり雨の日など、気分が乗らないことも。そんな時、僕を励ましてくれるのは、家族とのグループLINE。毎朝、配達後に「おはよう」と送ると、「お疲れ様」とねぎらいの言葉をかけてくれる。そのやりとりが、モチベーションになっています。
学業と仕事の両立は、正直時間が足りないと思うこともあります。でも、そのぶん配達後はすぐに発声練習をしたり、ダンスの練習をしたりと、日々のルーティンを決めて取り組むなど時間を無駄にしない工夫も徐々にできるようになっています。それに、新聞奨学生ならではのメリットもあります。代々木アニメーション学院では、僕の所属するクラスの大半が新聞奨学生をしているため、クラスの友人らと励まし合うことができます。専売所の所長や新聞奨学生の先輩方が、よき相談相手になってくれるのも心強い。声優やアーティストなどさまざまな夢をもつ学生が集まっているので、セリフ練習を聞いてもらって意見交換したり、互いの夢のためにサポートし合っています。
アニメ映画から影響を受けて僕が人生を変えるきっかけになったように、将来の目標は声優として人の人生に影響を与えられるような作品に携わること。その夢を絶対に叶えたいという思いがあるから、これからも仕事に学業にがんばっていきたいと思っています。