現役奨学生インタビュー

慣れてしまえば、怖いものなし!日々の仕事と学業の両立が自信にもなる

下場 裕太さん

したば ゆうた(NSN五反田)

日本大学 法学部政治経済学科

PROFILE

①出身高等学校

②新聞奨学生になった理由

③日経を選んたポイント

④日経に決めてよかったこと

⑤将来の夢・目標

①岡山県 岡山一宮高等学校

②早い段階で自立することは、将来必ず役立つと考えたから。

③集金業務がないこと、固定読者が多い点を重視した。特に後者によって、ルートを覚えてしまえば、迷うこともなくなるだろうと思った。

④安定した学生生活が送れる。

⑤世界でも活躍できるビジネスマン。

下場さんのある一日

2:00〜6:00
配達準備〜朝刊配達
6:00〜8:00
シャワー、朝食、仮眠
9:00〜13:00
学校
14:30〜17:00
配達準備〜夕刊配達
17:00〜21:00
夕食、課題、自由時間
21:00〜2:00
就寝

体力的にきつい日もあるが、仲間との絆で乗り越えられる

仕事をする上で心がけているのは、“適度な緊張感を維持すること”。毎日肩に力をいれて張り詰め過ぎると疲れてしまう。でも、ちょうどいい程度の緊張感をもっていれば、ミスも減るし、体調管理にも役立つんじゃないかと思うんです。

僕は、精神的にも経済的にも自立して、自力で大学を出ようと決めていたので、新聞奨学生経験のある父からこの制度を勧められたとき、迷いなくやってみようという気になりました。ただ、新聞を配達しながら、学業を続けるのは体力的に厳しいと父から聞いていた通り、最初は体力を消耗しましたね。でも、慣れてしまえば、怖いものなしです。深夜2時になると自然に目覚められるし、そこからは当然のように体が動くようになるものです。

晴れている日だけでなく、雪の日も雨の日も新聞を配るのは気が乗らない時もあります。でも、周りにはそれに共感し、支え合える専売所の仲間がいます。「今日の雨はやばかったねー。今から気晴らしに飯でも行くか!」と、ご飯を食べにいったり、お弁当を買って一緒に食べたりすると、気持ちはリセットできる。真面目な話も、馬鹿話もできる友達ができた専売所の環境は恵まれているな、と思います。また、新聞を配達しているのが縁で、地域の方とも挨拶をしたり、年度初めには「今年もよろしく」とお菓子をいただいたりしたことも。少しずつお客様との交流もできて、うれしいと思えることも増えてきました。

そしてやっぱり、お給料をいただけるのもありがたい!僕は毎月のお給料を貯めて中古のバイクを買って免許を取りました。そのバイクやレンタカーで専売所の仲間や学校の先輩といくドライブやツーリングもいい気分転換になっています。自然いっぱいの岡山で生まれ育ったので、東京から足を伸ばして長野や静岡を走っていると、それだけで日頃の疲れが吹き飛んでいくんです。

新聞奨学生での経験が就活を勝ち抜く自信に

高校の頃から公民の授業が好きだったので、大学では元々興味のあった戦後の外交を絡めた日本政治の勉強に、特に力が入ります。バブル経済の発端になったといわれる「プラザ合意」の経緯やそこから崩壊していく日本の経済事情など、思わず引き込まれる講義も多い。高校の頃に広く浅く教わったテーマを、その道の専門家である教授がより深く教えてくださる講義をワクワクとしながら聞いているんですよ。

来年は、就職活動も始まります。新聞奨学生を経験したことで意思の硬さや継続力も養われて、「同世代には負けないぞ!」という自信が持てた。その点では、就活の際にも、必ずアピールポイントになると思っています。まだはっきりと焦点は絞っていないけれど、バイクや車といった機械が好きなので、将来は機械を扱う企業の営業や資材調達などの仕事に就けたらと考えています。そして、いつかは日本という枠に収まらず、世界でも活躍できるようなビジネスマンになるのが目標です。

自分を支える軸があれば、仕事に、勉強に、踏ん張ることできる

和泉 沙穂さん

いずみ さほ(NSN白山駒込)

東洋大学 文学部第二部教育学科

PROFILE

①出身高等学校

②新聞奨学生になった理由

③日経を選んたポイント

④日経に決めてよかったこと

⑤将来の夢・目標

①神奈川県 生田高等学校

②進学したかったが、実家の経済的状況が厳しかったので、親に負担をかけずに自分のしたい学問を学びたかったから。

③パンフレットで集金業務が少なく、女性が多いと知ったため。

④女子学生が多く、辛いことなども共有できる仲間ができたことが励みになった。

⑤検討中。

和泉さんのある一日

3:00〜6:00
配達準備〜朝刊配達
6:00〜14:00
朝食、課題、仮眠
14:00〜18:00
配達準備〜夕刊配達
18:00〜22:00
学校
22:00〜3:00
お風呂〜就寝

毎日、仕事を終えることで自己肯定感を高められた

高校生の頃から特別支援教育に興味があり、大学の教育学科で専門的に学んでみたいと思っていました。ただ、下に弟もいるから、親に経済的な負担をかけることができない。それで、新聞奨学生になることを決めました。仕事を始めてみると気づいたのは、私は道を覚えるのが得意だったこと。配達のルートを頭に入れるのもスムーズで苦労はなかったけれど、冬の雪が降る日や雨の日など、やっぱり仕事がきついなぁと思うことも。そのぶん、やりきった時の達成感があります。

3年間経ちましたが、その間には同じ大学に通う新聞奨学生が、事情があって途中で辞めてしまったこともあります。その時はテンションが落ち気味でしたが、「自分でやると決めたことだからやり通そう」とがんばってきたので、自分でもよくやってきたなと誇れるようにもなりました。私、高校時代までは、自分には「これがある」と、自信を持てるものがなくて、自己肯定感がすごく低かったんです。だけど今は、毎日ミスなく、滞りなく仕事を終えられた時に「私、今日もがんばってるやん!」と素直にそんな新聞奨学生としての日々の支えになってくれているのが、同じ専売所の後輩たち。業務連絡のためにLINEのグループを作ったら、思いの外仕事以外のことでも盛り上がって、今では何でも話せる友達になりました。仕事や学校で辛い時には互いに「聞いてー」と言い合えたり、趣味の音楽のことで語り合えたりする欠けがえのない存在になっています。コロナ禍でなかなか集まることができませんでしたが、今年はみんなでディズニーに行くという目標もできました。

大学での講義に興味津々多忙な中にも充実感がある!

大学では、インクルーシブ教育についての講義に熱中しています。イングルーシブ教育とは、多様性を尊重しながら、障害のある人とない人がともに学ぶ仕組みのこと。まさに私が学びたかった特別支援教育そのもので、高校の時には学ぶことができない分野だけに、とにかく興味深い!4年生の12月には、このテーマでの卒論を提出するために、今は資料探しや資料の読み込みなど、準備に追われています。コロナ禍で始まったオンライン講義から対面講義に切り替わり、通学の時間が増えたので今は大忙しですが、最後までやりきりたいと思っています。

これまで新聞奨学生を続けてきて思うのは、自分なりの軸をもつことが大事だということです。仕事自体は慣れれば難しくはないけれど、いつも前向きに仕事や勉強に励むのに疲れる時は、きっと誰にでもあると思います。そんな時、絶対に叶えたい夢や学びたい学問、学校の友人や専売所の仲間、元気をくれる趣味......があれば、踏ん張ることができるからです。私にとっては、ずっと関心を持っていた大学での学び、将来の夢は違うけれど何でも話せる専売所の仲間たち、それに趣味の音楽などで、とても支えられています。

これから新聞奨学生になろうと考えている人なら、どんなに些細なことでも、自分にとって大切だと思える軸をもって挑戦してみてほしいと思います。

5人の先輩たちの本気の話

夢があるから努力できる!仕事に勉強に、100%の力で奮闘中

Sunset in the mountains
菊池 啓人さん

ワタナベエンターテイメントカレッジ
ヴォーカルアーティストPROコース
岩手県 花巻北高等学校出身

将来の夢や目標を叶えるために、自立した生活を送る新聞奨学生の5人の先輩たち。
仕事の様子や学校との両立の方法、目指す職業への思いなど、同じように悩んだり、
努力したりする奨学生だからわかりあえる、本音いっぱいのトークで盛り上がりました。

菊池
大学在学中にコロナが広がり、自分の将来を真剣に考えた時に、歌手になりたいという結論にたどり着いたのが、僕が新聞奨学生になるきっかけだった。でも、さすがに親にこれ以上負担はかけられない。そんな時に、ワタナベエンターテイメントカレッジのパンフレットでこの制度を知ったんだ。
松井
大学に通っていたのは、僕も同じ。学費を両親に頼れないし、自分の志すお笑い芸人になるためには、「自分で学費を稼がないといかん」と思って新聞奨学金制度を使うことにした。
金原
私も声優になる夢を叶えるため。高校卒業後、進学先の学費を貯めようと3年間働いたんだけど、貯まったのは1年分の学費が足りるかどうか。アルバイトで生活費を稼ぎながら専門学校に行くのは現実的じゃないなと思って、返済額の心配のない日経の新聞奨学生になろうと思ったんだよ。
服部
私も小学校6年生の頃からずっと声優になるのが夢だった。でも母子家庭なので経済的に余裕がなくて...。親に迷惑をかけずに自分の夢の1歩を踏み出したくて学校に相談すると、この制度を使っている人が多いということを教えてもらった。
遠藤
やっぱり僕の場合も学費を親に頼れなかった。だけど声優になる夢を諦めきれなくて、学校に相談したら、この制度を教えてくれた。その点は 服部さんと同じだね。最初は、新聞奨学生が僕に務まるかと親は心配していたけど、オープンキャンパスで講師の方も一緒に説得してくださったんだ。
慣れることで仕事に余裕が生まれる
松井
新聞配達を始めたばかりの頃は、生活リズムになれるのが大変じゃなかった?
深夜2時に起きるなんて「無理無理!」て思ったけど、1ヵ月ほど経ったら、いつのまにか体が慣れてくるんだよね。
遠藤
僕もそんな感じだった。体のリズムは徐々に慣れるけれど、最初はバイクの重さに慣れるのが大変だったな。
金原
そうそう。私は自転車なんだけど、新聞を載せるとかなり重いんだよね。
松井
スリップも怖いし、雨の日はブルーだけど、そんな時にはお店の仲間たちとっ「大変だね」と言い合って励ましあってる。
服部
私、一番辛いのはミスがあること。「届いてない」と連絡が入るとすごく凹んじゃう。だから、慣れないうちはミスもあったけど、そこからは意地でも「不着※
を出さない!」と決めて、配達するエリアごとに数字をつけて数えながら配ったり、エリアの最後のお客様は新聞を裏返したりと、確認を徹底したらミスを減らすことができた。
※不着=新聞が読者に届かないこと。
松井
なぜか、ぽっかりとこの一軒だけ忘れやすいとか、あるんだよね。だから、順路帳に「気をつけろ!」と書き足すなど、僕もいろいろ対策してきたよ。
菊池
僕は配達のルートを覚えるのに結構時間がかかった。1ヵ月ぐらいはかかったかな。でも、覚えると、余裕が出てくるよね。
松井
1年経った今では、どれだけ早く配れるか、スマホのストップウォッチ機能を使って測るのが楽しみになってるよ。
最初は3時間だったけど、1ヵ月で2時間50分、さらに1ヵ月で2時間40分。最速は2時間25分なので、25分きりを目指して毎日頑張ってる(笑)。陸上部だったから、タイムを縮めるのがうれしいのがあるかも。もちろん法定速度や信号は守った上でね。
金原
順路帳が頭に入ったら、アレンジもできてくるしね。なるべく同じ道を通らないで、ここなら一筆でいけるなとか。ささやかな楽しみを見つけて、効率化できるようになるのがうれしい。毎日のことだから、新聞を仕分けして自転車に乗せて、配る流れ作業のような感じで慣れてくる。そんな流れ作業の中でも、私の配達区域は会社が多いんだけど、警備員さんから「ありがとう」といってもらえると、見てくれている人がいるんだなって。
遠藤
僕の区域には、話をしていると「孫みたい」って言ってくれるおばあちゃんもいる。会うと必ず、おせんべいや果物などをくれるんだ。冷蔵庫の野菜室がみかんでいっぱいになったこともあったな。 菊池くんは同じ専売所なので、今度おすそ分けするね(笑)。
時間の有効活用が強みになる
菊池
おすそ分け頼むよ(笑)。僕は1限目にボイトレの授業があるので、早い段階で喉を温めるために、配達中は軽く口ずさんだり、自分の作る曲を考えたり、時間を有効活用できるようにしている。みんななんかしてる?
金原
配達中って、結構活かせるよね。例えばエレーベーターの中にはよく鏡があるので、振り付けの練習をしたりね。
遠藤
やっぱり鏡があると、勝手に体が動くのは、“あるある”だよね(笑)。後は、バイクで走っている時に、滑舌の練習のために口や舌を動かすこともできるし。時間がない中でも、やれることはあるよね。
服部
私は高校生の頃は、夜遅くまでゲームをしたりとかだらしない生活をしていた。でも、今は仕事と学業の両立するために時間を無駄にしたくなくて。専売所のみんなが2時から仕事を始めるところを1時半から始めて、少しでも時間がうまく使えるように考えて行動してる。そうすると、専売所の方から高校時代に言われたことがなかった「まじめだね」という声をかけられるようになって。自分を変えられたようでうれしいんだ。
菊池
大学に行っていた時は意思のない生活を過ごしていたけど、今は配達の仕事と歌手になるための活動を両立するために予定の立て方を常に考えているから、密度の濃い時間を過ごしていると思う。スマホをだらだらと見て過ごす時間も減ったしね。
遠藤
そうして時間をやりくりして新聞奨学生を続けているから、「絶対に声優になってやるぞ!」というのが、モチベーションにもなってる。僕は、みんなに幸せを届けられるような声優になりたいと思っているんだけど、まずは自分が楽しんで、身近な人が楽しませるのが大事かなと。演技の授業でもアドリブや言い回しを工夫するなどして、クラスのみんなを楽しませようと頑張ってる。
金原
私は声優の仕事だけで生きていける人になるのが目標。だから、とにかく全部の授業を100%の力で受けようと心に決めてる。授業中も台本の漢字が読めないとか、初歩で躓きたくないから、準備をしっかりしてから授業に臨んで、少しでも実のある指摘をしてもらうことで成長していきたい!
服部
私は、声優という夢をもつきっかけになった内田真礼さんや内田雄馬さんのような人柄も魅力的で、人に影響を与えられるような声優になりたい。新聞奨学生になって周囲から言われるようになった“真面目さ”を大切にして、努力を重ねていきたいな。
松井
僕も芸人だけで飯を食っていくのが目標。だから常に誰と接している時にも面白みやファニーが生まれるといいな、というのを意識している。早朝2時に起きて新聞を配っていると、終電を逃してしまった人や早朝の出勤の人など、普通に昼間に歩いていたら会えないような人を人間観察するのがすごく興味深い。だから新聞配達も芸人の糧になると思って、1日1日無駄にしないように生活したいなと思っているんだ。
菊池
僕の目標は世間で認知されて、武道館とかの大きなところでライブができるようなプロの歌手になること。そのために、夕刊がない日など時間がある時には学校に行って、友人に自分の曲を聴いて意見をもらったり、曲を書いたり、有意義に時間を過ごすように意識してる。自分の音楽で楽しんでもらえたり、心に彩りを与えられたりできる人になれるよう、今は努力あるのみだな。